ぼくらは抱き合う双子座に成る ―― 井筒沙奈 個展 


井筒沙奈


croixilleギャラリーにて開催中の井筒沙奈さんの個展も残すところ4日(本日含め)。
ブログやツイッターでもう少し案内を増やすべきか迷ってしまうのは、
現実にひっぱりだすことで静謐な世界を壊してしまいそうだから。
井筒さんの詩に何度も目を通しました。通すたびに引き込まれてゆきます。
詩を読んだからといって井筒さんの全てを知ることはできないけど、
詩の中に井筒さんを見つけることはできたような気がします。
でも声をかけることはできません。見つめていたいしそのほうが美しい気がして。

わたしには友人の何人かに楽を選ばないでほしい人がいます。
少し苦しさをもっているくらいがこの人はきれい。とおもうときがあって。
わたしにとって井筒さんもその一人。
薄情な話だけど。

井筒さんが今回の個展のために書き下ろした詩の中から
紹介する詩を選ぶのは難しかったし、
井筒さんから承諾を得たことだから全てを紹介しても良いのだけど
個展に足を運ばれて読まれるほうが伝わりそうです。
そこには言葉に宿る雰囲気ごと待っているから。



。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。


飛ぶ鳥

滑り落ちて、大げさな水音
あなたまでまっすぐに飛んで
胸に印をつける
決してあなたを覚えないわけではない
ただ、帰れない海を知る



。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・


落花

ほんとうに欲しいものには手を触れずに置く
私の放った灰なら跡形もなく散って
君の肺を白く染めゆくばかり

笑ってもくれない椿の花が
ある日ぽとりと音を立てる
季節外れに金木犀がここぞとばかりに合唱をする

手を置いた灰皿から
細くたゆたう煙だけが
君が居たことを証明して

この手を伸ばすことが出来たらなら
その手に届くことが出来ただろうか
ちりばめられた星たちはもう歌うこともないのだろうか

きみ、ねえ、この星々の歌を聴いていて
私はかわりに天幕を張って
離れているけど分かるから

ほんとうに欲しいものには手を触れずに置く
その意味が解ったとき
あの花たちがほころんでゆく



。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。。




 

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する